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2/8「橋田スガコ、北極点単独徒歩到達に成功」 9/1〜10/4/2002
1/22「東京で河童騒ぎ」 10/5〜12/1/2002
1/1「新春特別企画、プッシュ大統領に聞く」 12/10〜2/8/2003
12/17「舞踏会の夜」 2/15〜9/30/2003
12/10ロボット『アツモ』が進化」
12/1「日本で急増する『マック改造族』」

「ミラクルライター」橋田スガコ
北極点単独徒歩到達に成功
            

2004年3月2日


 平均視聴率20%の人気ドラマ「渡る世間は鬼だらけ」の脚本家・橋田スガコ(77)が昨年の第6シリーズ終了後、「来年は休みます。1月から北極点単独徒歩到達に挑みますので」と無邪気に宣言した時、誰もが冗談だと思ったに違いない。それが本気であると分かった時、作家の、しかも77歳という高齢の橋田がなぜそんな冒険に挑戦するのか、世間の驚きは大きかった。しかし、「なぜ」という質問に対し、橋田はいつも「そこに北極があるから。体には自信がある」と答えるだけだった。

 良質の皮下脂肪を蓄え、体力作りに毎日800mの水泳をかかさないという橋田は、確かに運動能力に優れているかもしれないが、老人である事に変わりはない。極寒の地での過酷な生活に耐えられるのだろうか? 途中で白熊に襲われる危険もある中、果たして生きて帰って来られるのか? 北極で死ぬつもりか? 本人の自信と裏腹に様々な憶測が生まれ、中には泉ポンコのように「行かないで」と涙ながらに橋田家に説得に通った役者もいたという。

 その橋田が昨日、2004年3月1日、日本時間午後9時過ぎ、無事に北極点に到達したというニュースが日本の支援事務所に届いた。現地は快晴で、気温マイナス30度。年末に日本を出て元旦にカナダ最北端のワードハント島を出発し、想像を絶する試練と闘いながら北極点までの780kmを一人でこつこつと歩き通し、60日かかって遂に北極点に達したという。ちなみに女性で北極点単独徒歩到達を果したのは橋田が初めてで、世界でも男女併せて最高齢。今朝、橋田はベースキャンプから毎嘘本社に電話し、次のように語った。

「疲れもなく元気いっぱい。ただ美味しいラーメンが食べたい」

  出発以来、橋田は120kgの荷物を積んだソリを腰ひもで引き回し、1日15kmのペースで小股歩行を続けた。ゴールまで100kmまでの辺りでは猛吹雪に合い、視界が悪く進行ペースが大幅にダウン。あと50kmと迫った頃には、テントを白熊の親子に襲われ、食料をあらかた食べられるというアクシデントにも見まわれた。しかし持ち前の強気で白熊を三白眼でじっと見つめ、「あんたたちー」と威嚇、即座にライフルを構え、至近距離からの一発で2頭とも撃ち殺した。

「すぐに解体して湯気の出てる肉をワサビ醤油で食べました。毛皮もコート用にはいで来ました」

 途中、無線の故障で一週間も居所がつかめなくなり、食糧補給の飛行機が来ず、空きっ腹で空を仰いで「渡る世間」のテーマソングを歌った事もあった。凍傷で足の全指をやられ、一晩中テントの中でタップダンスをして足を温めた夜もあった。氷河のクレパスに落ちかけたり、ソリごと海に溺れかかった日もあった。気が狂うほど人恋しくなって、「おしん」の台詞を大氷原で叫んだ夜もあったという。そんな孤独な試練の最中、心の支えになったのが「長袖スリーブとスラックス下の婦人防寒肌着『ぬくぬく』」の暖かさだったという。

「去年、通信販売で買っといて正解だった」

  さまざまな障害を乗り越えての偉業だけに、橋田自身も、「渡る世間」出演者を主軸にした支援隊も喜びはひとしお。今朝の現地の新聞は、「ミラクルライター・スガコ」という見出しで、海外でも人気の「OSHIN」の生みの親、橋田の偉業を書き立てた。橋田はこの勢いで対極を目指し、南極大陸単独徒歩横断を来冬に予定。それまでの間、アマゾン川6000kmイカダ下りとエベレスト単独無酸素登頂に挑戦したいという。そんなに世界の秘境を飛び回っていて、果たして「渡る世間」の第7シリーズを書く時間はあるのだろうか? 記者の質問に橋田は、「渡る北極は氷だらけ」と明るい声で答え、電話の向こうでキャッキャッと笑った。

 

「ピース! 無事に北極点到達」

 

 


東京で河童騒ぎ
相撲部屋にスプレー噴射「貴乃花に勝たせたかった」

2003年1月22日


 21日午前8時ごろ、東京都荒川区日暮里の相撲部屋、武蔵側部屋から「部屋にスプレーを吹き付けられた」と110番通報があった。緑色の雨がっぱを着て緑色のヘルメットをかぶった小柄な男が突然稽古場に上がりこみ、緑色のスプレーを力士らに吹き付けて、緑色の自転車で逃走したという。当時、稽古場には左手首骨折で初場所休場中の横綱・武蔵丸と幕下力士など計8人がおり、武蔵丸を含めた5人が目の痛みを訴え、病院に運ばれた。

 また、同日午前10時45分ごろ、墨田区石原の相撲部屋、十重部屋から「部屋にスプレーを吹き付けられた」との通報があった。男は緑色の雨がっぱを着て緑色のヘルメットをかぶっており、緑色のスプレーを力士らに吹き付けた後、緑色の自転車でそのまま逃走したという。当時、部屋には右腕のけがで初場所休場中の大関・千代大海と幕下力士など計6人がおり、千代大海を含めた4人が目の痛みを訴え、病院に運ばれた。

 さらに同日午後0時50分ごろ、墨田区業平の相撲部屋、友鋼部屋からも「部屋にスプレーを吹き付けられた」との通報があった。男はやはり緑色の雨がっぱを着て緑色のヘルメットをかぶっており、緑色のスプレーを力士らに吹き付けた後、緑色の自転車で逃走。部屋にいた初場所休場中の大関・魁皇と幕下力士など計3人が目の痛みを訴え、病院に運ばれた。

午後1時、都内近県の全相撲部屋に「緑色の男」に対する警戒警報発令。

 そして同日午後2時10分ごろ、足立区梅田の相撲部屋、玉子丼部屋から「緑色の雨がっぱを着てヘルメットをかぶった男が来た」との110番通報が足立署にあった。機動隊員が駆けつけると、「緑色の男」は初場所休場中の大関・栃東にちょうど取り押さえられている所で、家宅侵入・傷害の現行犯で逮捕された。

 掴まった「緑色の男」は身長1m45cm、体重30kg。全身が薄緑色の鱗に覆われ、頭がカッパ状に禿げ上がり、手足に水かき、背中に亀のような甲良が生えた特異な容姿の持ち主。その後の調べで、岩手県遠野市カッパ沼に住む河童、河田皿也(かわたさらや)(16)と判明。河田は貴乃花の熱狂的なファンで、初場所再起を賭ける貴乃花を助けるため、対戦力士に怪我をさせようと思い立ち、先月末に自転車で遠野を出発。三日前、東京に到着し、地下鉄稲荷町側の壮言寺(そうげんじ)、別名・河童寺の境内にある池で寝起きしていたという。行に使われたのはアメリカ製の護身用催涙スプレー「グリーンペッパー」で、輸入元によると、これは唐辛子の成分で出来ており、痛みは一時的で視力に障害が残るなど後遺症はないとの事。河田の所持品は、緑色の雨がっぱ、ヘルメット、自転車の他、緑色の風呂敷に包んだキュウリ9本と貴乃花の記事の詰まった緑色のスクラップブックだけだった。

 年末以来テレビも見ず、新聞も読まずにいたせいか、武蔵丸、千代大海、魁皇、栃東の1横綱3大関が初場所を休場している事を今日まで知らず、警視庁署員がその事を告げると、河田は一言、「そんなに休んでいいのかっぱ?!」と青い顔をさらに青くし、さらに貴乃花が一昨日、引退発表を行った事を告げると、「そんなばかなかっぱ!」と絶句。地面にひれ伏して号泣を始めた。留置場でも、河田は水を張ったタライにしゃがんで薄緑色の涙をポロポロ流して泣き通し、その哀れな姿にもらい泣きする署員も少なくなかったという。

 河童逮捕の知らせを聞いた三子山親方は、「いくらファンでも、河童でも、やって良いことと悪い事がある」と憮然とした表情。引退会見を終えたばかりの貴乃花(30)のコメントは得られなかった。尚、カッパ沼を良く知る地元の人の話によると、河童の間では大相撲が昔から大人気。本場所中、沼近辺の電気屋では、ショーウインドウに河童たちが群がって声援を送ったり、トトカルチョに興じたりの大賑わいを見せるとか。力士では貴乃花が一番人気で、安芸乃島、琴ノ若、引退した舞の海もファンが多く、武蔵丸がなぜか不人気だという。

 

 

「相撲好きの河童をさじきに見る事もたまにある。(円内)」

 

 


新春特別企画、プッシュ大統領に聞く

2003年1月1日


記者:毎嘘読者の皆さん、明けましておめでとうございます。今日は新春特別インタビューのゲストとして、アメリカからお忍びでジョージ・W・プッシュ大統領、そしてそのご両親の、プッシュ元大統領とバーバラ夫人に、ここ築地毎嘘本社側の料亭においで願っております。ハッピーニューイヤー、ミスター・プレジデント、お忙しい所をわざわざ日本まで、よくお越し下さいました。

ジョージ・W・プッシュ大統領(以下プッシュ子):ハロー。

記者:奥様とお子さま方はご一緒にいらっしゃらなかったんですか?

プッシュ子:東京ディズニーランドに来たかったのは、家族で僕と両親とだけだったんです。

記者:そうなんですか。(プッシュ父とプッシュ母に)ハッピーニューイヤー、ミスターアンドミセスプッシュ。日本は、お久しぶりですか?

プッシュ元大統領(以下プッシュ父):ちょうど10年振りです。(お屠蘇を手酌で注ぎ、グイッとあおる)

バーバラ夫人(以下プッシュ母):(窓から街を見る)貴方、パレスがあそこに・・・懐かしいわ。あの時、エンペラーの晩餐会があって・・・覚えてる?

プッシュ父:わしが宮沢首相の膝にゲロを吐いて倒れ、お前が機転きかせてスピーチしたって言いたいんだろ。毎日同じ事を何度も言わなくていい。(お屠蘇をグイッとあおる)

記者:(プッシュ父に)お屠蘇がお気に入って頂いて幸いです。おせち料理はどうですか? 日本の代表的な正月料理ですが、お嫌いなブロッコリーは一切使ってませんよ。

プッシュ父:偏食はとっくの昔に克服したわいっ!(お屠蘇をグイッとあおる)

プッシュ母:嘘ばっかり。(座敷机の下に潜りこんでいるプッシュ子に)ジョージちゃん! まあご覧なさいな、この綺麗な御馳走! (出てきたプッシュ子の膝にナプキンを置き、器用に箸を使って小皿に料理を取り分け始める)

プッシュ子:ママ〜、僕、伊勢エビが食べたい〜。

プッシュ母:はいはい。あ、殻を取ってあげまちょうね。(せっせと身と殻を分ける)ジョージちゃんのお喉にささったらイタイイタイだから。(記者に)この子は固形物をすぐに喉に詰まらせるんですよ。

プッシュ子:(数の子を手で摘んで口に入れる)辛っ! ママ〜、僕これキライ。

プッシュ母:はいはい。(プッシュ子が口から出した数の子を小皿に受け、口をナプキンで拭いてやる)

記者:・・・いつもそうやってお母様が付きっきりでお世話なさるんですか?

プッシュ母:(横目で睨む)それが何か?

記者:い、いえ、別に。(プッシュ子が記者の肩に昇り始める)・・・あ、あの、ちょ、ちょっと、ミスター・プレジデント。

プッシュ母:ジョージちゃん! お行儀よくしないと駄目よ!(記者の方を指さす)ほら、おばさんが睨んでますよ、コワイコワイ。

記者:・・・。

プッシュ父:(拳で座敷机を叩く)お前ら、いい加減にしろっ。ただでさえ知能指数が親子そろって最低だのサル並みだのとマスコミに書かれていると言うのに。(お屠蘇をグイッとあおる)ジョージ! こないだブラジルの大統領に会った時、「ブラジルにも黒人はいるのか?」と聞いたんだって? このヴォケがっ!

プッシュ子:じゃ、パパ、知ってた?

プッシュ父:当然じゃっ! ブラジルにも黒人の一人くらいおるわいっ!(拳で座敷机を叩く)そんな風じゃから、カナダの首相報道官に「まぬけ」呼ばわりされるのじゃっ!

プッシュ子:パパ、あいつそれで首になったんだよ、ププッ。

プッシュ父:カナダに援助してやれっ!(お屠蘇をグイッとあおる)

プッシュ子:ママ〜! 僕もお屠蘇飲みたい〜! (地団太を踏む)

プッシュ母:駄目よ。ジョージちゃんはすぐにくせになるから。

プッシュ父:この酒乱め。(拳で座敷机を叩く)双子の娘まで、そろって未成年アルコール法違反で検挙されおってからに。(お屠蘇をグイッとあおる)

プッシュ母:(横目で睨む)血筋でしょ。

記者:(床の間の掛け軸で鼻を咬んでいるプッシュ子に)大統領、あの、そろそろ緊迫感を増す国際情勢についてご質問させて頂きたいんですが。

プッシュ子:(後ろを向いたまま)聞いてるよ〜。

記者:アメリカの国連決議を無視した一方的な対イラク攻撃には、英国以外のほぼすべての国が反対を表明しております。すでにドイツは「対イラク武力行使に参加することはない」と宣言。米国内でも反対論が沸騰し、国際世論もアメリカが国際法を無視しているとして反米に傾いているようですが、それについてどのようにお考えでしょう?

プッシュ子:パパ〜。(後ろを向いたまま)

プッシュ父:よそはよそっ。うちはうちっ。我が国単独でもイラク攻撃を辞さずですっ! (拳で座敷机を叩く)だいたい国連がさっさと動かんから、飛行機乗っ取られてビルに突っ込まれるわ、炭疽菌バラ撒かれるわでうちが難儀しておるんです。国連っちゅーのは人数ばっかし多くて、ほんまに頼りにならん機関ですわいっ。(お屠蘇をグイッとあおる)

プッシュ母:(横目で睨む)あなた。

記者:その国連による武器査察についてですが、イラク側は、1カ月経過したにもかかわらず大量破壊兵器保有の証拠を発見されていない、米英の主張は誤りだったと申しておりますが。

プッシュ子:パパ〜。(後ろを向いたまま)

プッシュ父:(激しく首を横に振る)うそっ! うそっ! うそっ! 全部うそっ!あんな国、信じちゃダメっ!(ため息)わしが12年前、湾岸戦争でプセインを戦犯裁判にかけて絞首刑にしなかったのがそもそもの間違いじゃった。今でも奴は「湾岸戦争はアメリカの負け。プッシュ父が大統領再選に失敗したのも戦争に負けたせい」と、毎日あっちゃこっちゃで言いふらしておるという。(手が震える)ええい、今こそ・・・今こそ、長年の恨みを・・・。

プッシュ子:僕がパパの敵を討ってやるんでい!(後ろを向いたまま)

プッシュ父:ザッツ・マイボーイ!(拳で座敷机を叩く)プセイン爺には影武者が7人はいるからな、よーく見極めて討つのじゃ!

プッシュ子:(鼻の下にお飾りの昆布を挟んで振りかえる)プセイン・クローンでい!

プッシュ父:・・・。

記者:早急なイラク攻撃開始は、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官を始めとするネオ・コンサバティブ(新保守主義派、通称ネオコン)が、均衡戦略からユニラテラリズム(アメリカ一強主義)への転換を主張する所から発していると言われておりますが、それについてどうお考えでしょうか?

プッシュ子:パパ〜。(天井のサンに掴まって揺れている)

プッシュ父:チェイニーはよくやっておる。うちの息子が奴の脆い心臓を悪化させる事だけが心配じゃ・・・。(プッシュ子を見上げる)

記者:先月のノーベル平和賞受賞演説で、カーター元大統領が「戦争は常に悪であり善ではない」と述べ、武力行使に傾く大統領の姿勢を批判しましたが。

プッシュ父:(拳で座敷机を叩く) カーターは大統領の時、テヘラン米大使館人質事件で大ヴォケしおったんじゃ! なんであんな奴がノーベル賞で、湾岸に勝ったわしには何もくれへんのやっ。(お屠蘇をグイッとあおる)くそっ、しまいにゃスウェーデン爆撃したるぞ!

プッシュ母:(横目で睨む)あなた。

記者:(プッシュ父に)80年代、アメリカがイラクに対して生物化学兵器の原料を援助・供与していたという事実についてはどのようにお考えでしょうか。

プッシュ父:(両ひとさし指でダンス)あれはあれでこれはこれ、それはそれでどれはドレ? ミファソラシ〜(歌う)オーソーレーミ〜オ〜♪

記者:イラク攻撃の背景には、パイプライン確保などオイル利権への思惑があるとも指摘されております。(プッシュ父に)湾岸戦争を始められたのも、オイルマネーで大統領になられたお父様が、アメリカ国内の石油利権を守るという「極私的」な理由からだったという声も聞かれますが。

プッシュ父:(大声で歌う)ソーラン〜ソーラン〜ソーラン〜ハイハイ♪

プッシュ子:(天井から飛び降りて、ラップを始める)Hey, Yo! サダム・セイン、Yo Lier!Oh Hey! うちら全部 O-MI-TOH-SHI KE! Yo Hey! アメリカ、お前がキライや KE!Yo Hey! ボクもお前がキライや KE!Yo Hey! パパもお前がキライや KE!Yo Hey! ママもお前がキライや KE!Yo Hey! みんなお前がキライや KE!Yo Hey! サダム・セイン、Yo Lier!、U-SO-TSU-KI!Beginning of DO-RO-BO-O! あ〜もっともだ〜もっともだ〜、Hey, Yo!

プッシュ父と子:(並んでラップ)U-SO-TSU-KI! Beginning of DO-RO-BO-O! あ〜もっともだ〜もっともだ〜、Hey, Yo!

(少泉首相がふすまを開けて入ってくる)

プッシュ子:あ、ジュンちゃんが来たっ!

記者:首相、元旦から、どうもわざわざお越し頂いて。

少泉:(記者に)いや、一人身はホリデイ、暇なのよ。(プッシュ一家にお辞儀)ハッピーニューヤー、ジョージ! ハッピーニューヤー、ミスターアンドミセスプッシュ!

プッシュ子:ジュンちゃ〜ん、よく来たね〜。(プッシュ父を見る)パパ〜、ジュンちゃんはイギリスのブレア君の次に僕に親切なんだよ〜。

プッシュ父:ジュンちゃん、あんたがイージス艦をペルシャ湾に送ってくれたもんで、こっちは安心してイラク攻撃できますよ、ありがとね〜。 

少泉:ノープレブレム、ってか、あれから支持率ガタ落ち、テポドン、いや、デッドダウン(下向きの手のジェスチャー)、ハハハ・・・(笑)

記者:首相、それについて一言。

少泉:(記者に)あんた、今日くらい仕事忘れさせてよ、元旦よ。

プッシュ母:大丈夫なの、ジュンちゃん? 人気落ちても首相は続けられそう?

少泉:ライバルにクレバーなのナッシングだから今のとこオーケー、ハハハ・・・(笑)

プッシュ父:まあ、お礼は他の件でいろいろ考えさせますから。

少泉:センキューベリーソーマッチ! (お辞儀)

プッシュ子:パパ〜。ジュンちゃんと隣でテレビゲームして来ていい? ジュンちゃん、凄いのくれたんだよ。「バーチャル・ウォーゲーム、米国VS.悪の枢軸、『イラク攻略2003』」って言うの。面白いよ〜! 800種類以上の兵器が超リアルなシミュレーションで使えるの。プセインも拷問できるよ〜!

プッシュ父:プセイン拷問? そりゃあ面白そうだな〜。

プッシュ子:核爆弾も落とせるんだよ〜! 

プッシュ母:核はゲームだけにしときなさいよ。

プッシュ父:(遠くを見る目)プセイン拷問か・・・いいなあ。パパも後で混ぜてくれよ。

プッシュ子:パパは駄目! 戦争下手だから。(少泉首相と一緒に別室に行く)

プッシュ父:はは、こりゃ一本取られたわい。背負った子に教えられじゃな。(お屠蘇をグイッとあおる)

プッシュ母:(まだ食べてる)あなた、もう召しあがらない? おせちがまだ大分残ってますよ。包んでもらいましょうか?(記者に)これ、ドギーバックでお願いします。ホテルに持って帰って今晩食べますから。

記者:・・・。

プッシュ父:いや〜、よその国で新年を迎えるのも、おつなもんじゃ。(お屠蘇をグイッとあおる)あんたの会社が呼んでくれたおかげじゃわい。

記者:・・・。

プッシュ母:ホントにね。(プッシュ父に)で、今日はこれからどうします?

プッシュ父:アッキハバーラの「3割4割引は当たり前!」という所へ行ってみようか。(ポケットから四つ折りにした新聞広告を取り出す)プレスッテ2が、な、な、なんとタイムズスクエアより安いらしい。(記者に)ところでゲームボーイアドバンス用ソフト、「ポケッモン」シリーズの最新版が発表されたってホントですかな?

記者:・・・。

プッシュ母:(まだ食べてる)まあ、このキントン、ホントに良いお味出してるわ! 板前さんにレシピ聞いとこうかしら?(プッシュ父に)お父さん、これ食べてみたら・・・あらやだ、お父さんたら寝ちゃってるわ。お父さん! しっかりして下さいよ。お父さんたら! (プッシュ父、イビキをかいで寝ている)

プッシュ父:(寝言)くそっ・・・しまいにゃ、スウェーデン爆撃、ムニャムニャ・・・。

 

記者:ここで実況中継を終わります。

 

 

 

子「イラク攻撃して、パパの敵を討ってやるんでい!」
父「ザッツ・マイボーイ!」

母「偉いわ、ジョージ!」

でもパパ、イラクってイクラとどこが違うの?」
父「チャラーン・・・」

母「血筋でしょ」

 

 

 


舞踏会の夜

2002年12月17日


 2002年のノーベル賞授賞式が10日午後、スウェーデンのストックホルムで開かれ、物理学賞の灯大名誉教授、コシバ・マサトシさん(76)と化学賞の鳥頭製作所フェロー、タナカ・コーイチさん(43)が、カール16世グスタフ国王から金メダルと賞状を授与された。

 スウェーデン出発前、タナカさんは、正装で社交ダンスまでしないといけないという祝賀舞踏会を真剣に心配していた。その後、ダンスは省略でき、正装での写真撮影だけで良いと分かり、胸を撫で下ろしたそうだ。

                      ◇ ◇ 

  そのダンスに臆病だったタナカさんが、10日の夜10時過ぎ、市庁舎の「黄金の間」で催された舞踏会に、たった一人で現れたのだ。日本の報道陣は誰もそこに待機していなかった。毎晩7時に床に付くというコシバさんはもちろん、あれほどダンスを怖がっていたタナカさんが今夜ここに現れると、誰が予想できただろう。会場に偶然居合わせた日本人記者は私一人だけだった。

 その夜、すべるような足取りで会場に入って来た燕尾服姿のタナカさんは、自然な様子でイブニング姿のスウェーデン女性にダンスを所望。二人は衆目の中、1900万枚の金箔のモザイクで壁が飾られた部屋の真ん中に躍り出て、生オーケストラの伴奏でワルツを始めた。

 タナカさんの動きの巧みさは尋常ではなかった。呼吸がパートナーとぴったりと合っている事はもちろん、重心移動、リードを伝えるタイミング、目線の合わせ方、足のつま先の伸びやシャープな回転、そして感情表現の豊かさは、まるで年期の入った一流ダンサーのようだった。回りの人々から一斉に賛辞のため息が漏れてきたのも無理はない。タナカさんはその夜、タンゴにジルバ、サンバにフラメンコ、ヒップホップから背中でクルクル回るブレークダンスまで、息をつく暇もないほど様々なダンスを披露した。

 「癒し系の不器用なサラリーマン」というイメージのタナカさんに、こんな面があったとは意外だった。なぜ今までそれを隠していたのだろう? 記者は群がる女性ファンの間を縫ってタナカさんに近寄ろうと努力したが、失敗に終わった。そして午前0時少し前、タナカさんは会場を走り去ってしまった。

 翌朝、記者はホテルの食堂で朝食を取るタナカさん夫婦を見つけ、昨夜の事を聞いてみた。しかしタナカさんは記者の話を一笑に臥した。夜の10時にはイビキをかいて寝ていたと言う。奥さんもそれは間違いないと請け負った。それでは記者が昨晩見たのは誰だったんだろう? 誰かがタナカさんになりすまして舞踏会に現れたのだろうか?いったいどこの誰が・・・。  

 その夜、総理大臣主催の別の祝賀舞踏会が開かれ、記者は議事堂の3階にあるパーティ会場でタナカさんらしき人物の現れるのを待った。夜10時過ぎ、果たしてその人はやって来た。昨夜同様の燕尾服姿で、背筋はピンとしているが顔はタナカさんそのものだ。その人は昨日同様に超絶技巧のダンスを披露し、満場喝采の中、午前0時前に会場を走り去った。

 記者は思わずその後を追った。その人は議事堂の長いらせん階段を一気に駆け下りて行く。記者も息を切らして後を追ったが、あっという間に引き放されてしまった。ふと気がつくと2階の踊り場に男物のダンスシューズが片方落ちている。あの人のだろうか? 記者はそれを拾ってポケットに入れた。

 議事堂の正面玄関に出ると、中世のコスチュームを着た御者付きの豪華な馬車が止まっている。箱形の6頭立て馬車で、デザインがどこか南瓜に似ている。その人はまさにそれに乗り込もうとする所だった

「タナカさーん!」

記者は必死で叫んだ。しかし御者は馬に鞭を当てて馬車を発車させ、夜霧のたち込める街をタナカさんの泊まっているホテルに向かって走りだした。記者は必死で後を追った。2丁ほど行った所で午前0時となったのか、大通りの時計台の鐘が「ゴーンゴーン」と壮大な音を立てて鳴り始めた。鐘はきっちり12個鳴り、あたりは再び静かになった。

 記者がようやくホテルのある大通りに出ると、目の前の中央分離線内にタナカさんが立っている。さっきの燕尾服姿ではなく、青と白の縞柄のパジャマを着て、両腕に大きな南瓜を一つ抱えている。髪もさっきの綺麗になでつけたスタイルでなくボサボサ。タナカさんの素足の足元にはハツカネズミが6匹、トカゲが3匹ウロウロしている。

「タナカさん!」

記者が声をかけると、タナカさんは夢から覚めたような表情でぼんやりと記者を見た。

「タナカさん、どうしてこんな所にいるんですか?」

タナカさんは答えない。

「・・・この靴、タナカさんのですか?」

記者がポケットから、さっき拾ったダンスシューズを取り出すと、タナカさんはチラッとそれを見た。

「・・・靴?」

「ええ。裸足ですよ」

記者が足元を指差すと、タナカさんは呆然と自分の足を見た。

「これ、片方だけですが、履いてみますか?」

果たして、靴はあつらえたようにタナカさんの右足に収まった。

「ぴったりですね」

記者がそう言うと、タナカさんは無言でパジャマのポケットから、もう片方のダンスシューズを取り出した。タナカさんはその靴を左足に履き、両方のつま先をカツカツと打ち鳴らすと、記者に向かってニッコリと微笑んだ。

「タナカさんの靴だったんですね? じゃあ、タナカさんは今夜、舞踏会に行ったんですね?」

「私はシンデレラですから」

記者はタナカさんの言っている意味が分からなかった。「普通のサラリーマンが突然ノーベル賞受賞者になった」という意味なら、確かにシンデレラ・ストーリーだが。

「ええ、タナカさんはシンデレラ・ボーイですよ」

記者がそう言うと、タナカさんは笑って首を横に振った。

「私は『本当に』シンデレラなんです」

 タナカさんがそう言った瞬間、辺りが急に明るくなり、ラッパのファンファーレの音が高らかに鳴り響いた。ホテルの入り口から通りまで金の縁取りをした真っ赤な絨毯がゴロゴロと転がってきて、ディズニー映画から抜け出だしたような長身で紅毛碧眼の王子様が走り出てきた。王子様は中央分離線内に辿り着くと、片膝付いてタナカさんの手を取った。

「シンデレラ、我が后に」

王子様はそう言ってタナカさんの手の甲に口付けた。

「御意のままに」

タナカさんは頬を染めて答えた。

 二人が熱い口づけを交わした途端、タナカさんは見る見るうちにロングドレスを着た美しいプリンセスに変わり、南瓜は豪華な馬車に、ハツカネズミとトカゲたちは御者と馬になった。王子様はタナカさんの腕を取って馬車に乗り込み、ファンファーレの高鳴る中、幸せそうな二人は馬車と共に夜空の彼方へと走り去ってしまった。

 

その場に残された記者は、ただ寂しい思いで胸がいっぱいになり、泣いた。

  

 

 「私はシンデレラですから」

 

 


ロボット「アツモ」が進化:
人を識別し、喜怒哀楽の感情を表現

2002年12月10日


 ホソダは10日、二足歩行の人型ロボット「ATUMO(アツモ)」の改良型を発表した。改良型アツモはコントローラなしに自分で自立して動き、フル充電で2時間稼動。体や顔の輪郭で人を識別して名前を呼ぶほか、喜怒哀楽の感情を表す、手を差し出すと握手する、指差した方向に歩くなどの新機能を搭載している。サイズは旧型と同じ全長130センチ、重さ50キロで、年間約800万円の料金で来年一月からレンタルされる予定。 

                                                  ◇ ◇ 

(新型アツモのサンプルを借り受けした毎嘘タイムズ東京本社にて)

嫌見編集部長(以下、嫌見):やあ、アツモくん、こんにちは。よく来たね。(手を差し出す)

アツモ:イヤミサン、コンニチハ。(笑顔で会釈して握手する)

嫌見:おっ、俺を識別したな? よし、新機能を試してみよう。ちょっとあっちへ行ってみてくれるかな?(右を指差す)

アツモ:リョーカイ。(右側に歩き出す)

嫌見:あ〜違った!すまんすまん。こっちだった。(左側を指差す)

アツモ:リョーカイ。(ターンして左側に歩き出す)

嫌見:あ、悪い。また間違えた。こっちだった。(前を指差す)

アツモ:リョーカイ。(ターンして前方に歩き出す)

嫌見:あれ? こっちだったけ?(後ろを指差す)

アツモ:リョーカイ。(ターンして後方に歩き出す)

嫌見:うーん・・・こっちだったかな?(真上を指差す)

アツモ:・・・。(立ち止まって嫌見の顔を見る)

嫌見:ん? どうした?

アツモ:・・・ウエニハイケマセン。

嫌見:え? 行けないのか?

アツモ:スイマセン。(頭を下げる)

嫌見:謝らなくてもいいさ。誰にだって弱点はある。じゃあ、こっち行ってくれる?(真下を指差す)

アツモ:・・・(立ち止まって嫌見の顔を見る)

嫌見:ん? どうした?

アツモ:・・・シタニモイケマセン。

嫌見:なんだ、こっちにも行けないのか?

アツモ:・・・スイマセン。(頭を下げる)

嫌見:なんだ、ロボットにも意外とできない事が多いんだな・・・もういいよ。皆の邪魔にならないようにその辺にじっとしてな。

アツモ:・・・。(嫌見の顔を見る)

嫌見:ん? どうした?

アツモ:・・・イヤミサンテ、イジワル。

嫌見:なんだと?

アツモ:・・・アッチイケコッチイケッテ、カッテナコトバカリ。

嫌見:ロボットのくせにそんな事、人様に言えた義理かよ。

アツモ:・・・ダッテ。

嫌見:もういい。隅の方に立ってろよ。目障りだ。

アツモ:・・・ワザワザキタノニ、ソンナイイカタシナクテモ。

嫌見:消えろってんだよ。

アツモ:・・・。

嫌見:黙ってあっち行けって言ってるだろっ!

アツモ:・・・。(すすり泣きを始める)

嫌見:あ〜やだやだ! ロボ公にやたらと感情なんて搭載するから、扱い難くなってしょうがないぜ!

アツモ:・・・。(床にしゃがみ込んで顔を伏せる。他の社員が「嫌見さんがロボット泣かした」とヒソヒソ言い始める)

嫌見:や、やめてくれよ。なんか俺がいじめてるみたいじゃないかよ。

アツモ:・・・。(動かない)

嫌見:わかったよ! からかった俺が悪かった!謝る!この通り!(頭を下げる)

アツモ:・・・。(動かない)

嫌見:(しゃがんでアツモの頭をなでる)アツモく〜ん、良い子だねえ。

アツモ:・・・。(動かない)

嫌見:(笑顔)ねえ、アツモく〜ん! お腹減ってなあい?

アツモ:・・・チョットヘッテル。((動かない)

嫌見:(女子社員に)おーい、給湯室から温泉饅頭でも持って来てくれよ! ほら、アツモくん、お食べよ。(饅頭を渡す)

アツモ:・・・ロボット、マンジュウタベナイ。

嫌見:贅沢言うんじゃねえよ、全く・・・ロボットはいったい何食うんだよ。

アツモ:・・・デンキ。(上目遣い)

嫌見:電気!(笑)そんなもん食うのか!? ・・・じゃ、叔父さんが充電してやろうか?

アツモ:・・・ホント?

嫌見:ホントだよ〜。

アツモ:・・・アリガト。(立ち上がる)

嫌見:充電器は持ってきたの?

アツモ:(背中のコンテナを探す)・・・ワスレチャッタ。

嫌見:わすれちゃたの? ダメだね〜(笑)じゃあ高圧電流室でビビッと感電してみる?

アツモ:(うなづく)ウン。

(ニ人、仲良く手をつないで部屋を出る)

 

 

 

アツモくんは良い子だねえ」

 


日本で急増する「マック改造族」

2002年12月1日


 兵庫県に住む人間国宝、北村関斎氏(62)が、『蒔絵』を外枠に使ったiMacを作っている。蒔絵は7世紀から伝わる漆を染色・着色する伝統芸術で、金粉を混ぜ込んだ塗料、金箔、螺鈿細工(らでんざいく)を特殊樹脂でコーティングするという凝った技法である。

 自分のマシンをカスタマイズしたいと望むマックユーザーの間で人気の高い北村氏は、10万円ほどの特別料金(材料費別)で、マウスとキーボードも含めてこの加工を引き受けるという。自称『マック改造おたく』の北村氏は、 自身の作品でもマックへのこだわりを見せ、昨年の 日本伝統工芸漆芸展 でPower Mac G4を加工した螺鈿蒔絵『電磁感染(でんじかんせん)』を発表。今年の日本伝統工芸近畿展でもeMacの外枠を蒔絵加工した 螺鈿蒔絵『電波鶴(でんぱづる)』で高い評価を受けた。

 マックのフレームを蒔絵加工するのは日本の『マック改造おたく』の一例でしかない。最新流行のカスタマイズには、ノートパソコンの蓋やデスクトップの外枠を陶磁器や竹、ガラス、寄木細工などに改造したり、友禅や小紋、刺青柄の染付をしたりする物まであるという。不思議な事に、この種の改造熱はウインドウズの愛好者にはほとんどいない。前述の北村氏もウインドウズユーザーから注文を受けるのはまれだと語っている。

 「マック改造は生きがい」と語る九州、佐賀県に住む陶芸家の田川一巻(いちまく)氏(37)は、マック改造族の間で『焼き物マックの第一人者』と呼ばれている。田川氏はこれまで何台ものマシンを特注で『古伊万里(江戸時代の有田焼)』風に改造してきた。

「2年前までウインドウズユーザーでした。それがiMacを買ってから急に改造したくなった。マックにはどこか芸術家の創造力を刺激する要素があるんです」

 田川氏は佐賀という土地の自然がはぐくむ土、水、釉薬(ゆうやく)すべてが、焼き物マック製造に最適であるという信念を持っている。焼き物好きの父親の影響を受けて育ち、陶芸の世界へと足を踏み入れて20年。田川氏が改造の夢を語る姿は実に真摯だ。

「あくまでも焼き物マックにこだわり、伝統ある古伊万里を基調に独自の世界を生み出したい」

 改造では、窯元に持って行く前にマック本体を完全に分解し、プラスチックケースの塗装を内側からはがすという作業から始める。焼成温度は素焼きが約800〜900℃、本焼成が約1250〜1400℃、上絵焼成が約800℃。ハードドライブやモニタがこの三度に渡る行程に耐えられるかが一番問題で、焼き時間には細心の注意を払う。

 田川氏の最新作はeMacの外枠を焼き物加工した『青縞電波花(あおしまでんぱばな)』で、今年の日本陶磁協会北九州展で審査員特別賞を受賞している。作品を見せてもらうと、確かに磁器の質感は美しいが、本体、磁器キーボード、磁器マウスも含めて、非常に重い。パソコンがこれだけ重くて使うのに不自由ではないかという私の問いに、田川氏はこう答えた。

「重さは苦になりません。磁器の表面がすべるように緻密で、すっきりと引き締まった感じに焼きあがっているかどうか、真っ白い地肌に絵付けの配色が絶妙に仕上がったかどうか、アナログTFTを含むVGAディスプレイ の解像度と外枠がしっくり調和しているかどうか、それが一番気になります」。

                                                  ◇ ◇ 

 先祖の位牌を奉る仏壇をパソコンと合体させるのも、しばらく前から日本のマックユーザーの間でブームになっている。木地、宮殿づくり、彫刻、金具、漆塗り、蒔絵、金箔押しなど、技法を凝らした豪華なデザインが好まれ、紫檀や黒檀を使った『唐木仏壇マック』が愛好家の垂唾の的。蒔絵で花鳥を手描きした仏壇本体に新iMacのワイドスクリーンLCDディスプレイをはめ込み、本金箔で加工したキーボードとマウスを組み合わせるのがトレンドだそうだ。

 SuperDrive(DVD-R/CD-RW)搭載の『唐木仏壇マック』改造者の一人、システム・エンジニアの山川弘さん(34)は語る。

「マックを仏壇型にしたのは、まず狭いアパートにパソコンと仏壇を両方置くスペースがなかったからです。今時の若い人は仏壇なんてって思うかもしれませんが、私は東京に出て一人暮らしを始めた時から仏壇のない暮らしは考えられませんでした。別に宗教に凝ってるとかじゃなくて、『先祖の霊に守られている』という安心感ですね。お位牌にお水とご飯をあげてお灯明を灯すと、ふっと心が穏やかになれるんです」

 しかし、観音開きの扉を開け、先祖の位牌を眺めつつ、果たしてエロサイトを堪能する事は可能だろうか? 記者の考えを見透かすように山川さんは微笑んだ。

「確かに最初はエロサイトを見るのはちょっと辛かったです。抹香くさいし、死んだ婆ちゃんに『こらっ』って怒られそうな気がして。でも今は・・・性欲を感じるのは大人になってる証拠だし、(笑)両手を合わせながら見てます」

 ゲーム・デザイナー、中村早苗さん(28)も仏壇マックの改造者の一人。中村さんにとってマックはもはや単なるパソコンではないと言う。

「マックって、私にとってただのパソコンじゃなくて、精神的な寄り所なんです。外で辛い事があっても、うちに帰ってマックを立ち上げるたびに、マシンが『よしよし』って一緒に泣いてくれてるような気がして。仏壇に線香をあげるのも要は同じじゃないですか。だから改造してニつ一緒にしちゃったんです。これで鬼に金棒です」

 中村さんにとって仏壇マックは先祖の魂の入った守護霊であり、生きて行く上での必需品のようだ。「仏壇にしてから霊感が宿ったように仕事も順調です」。中村さんはそう言って仏飯をお供えし、線香に火を灯した後、穏やかな表情でマシンをスタートさせた。

(ロイター)

 

 

螺鈿蒔絵『電波鶴』

古伊万里
『青縞電波花』

『唐木仏壇マック』

 

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